30代後半男の惑い

bingolgo.exblog.jp ブログトップ

<   2009年 03月 ( 3 )   > この月の画像一覧

春風

きっかけは自社の薬を検索したことだった。
たどり着いたのは乳がん患者さんのブログ。

私たちは先生に「こういう副作用があります」と伝える。
先生は「こういう副作用がありました」と伝えてくれる。

薬の副作用を知っている気でいるが、患者さんから直接その苦しさや不安を聞くことはない。
“事象”の知識はあっても“感情”の知識は皆無に等しい。
生の声を知りたいと思ったことが始まりであったが、この時点では関心は“患者さんの声”であったと思う。

ブログを読み始めると日常の様子が闘病生活を交えて記されている。
ユーモア溢れる文章、病(やまい)と共存しながら現実を見据えて生きている姿勢にいつの間にか一個人としてファンになっていた。

段々と病状は厳しくなっていくのだけど、自暴自棄になることなくさらりと笑いにする強さ。
強さの裏側にある辛さも理解できる同じ仲間の読者の方から数多くの励ましのコメントが送られていた。彼女の本当の辛さを身をもって経験していない私はいつもただただ祈るだけだった。

昨年の秋、「痛くて痛くて痛くて」というタイトルの記事を最後に数か月更新がなかった時、彼女の置かれている状態を心配し、最悪の事態を想像したが、彼女は再び以前より元気な感じで更新を再開し、私たちを安心させてくれた。

このままずっと進行せずにいてほしい、そう願い記事が更新されるたびに安堵していた。
私が知っている知識なんて結局は机の上だけの知識で、人の命は教科書に書いてあるよりずっと逞しいんだ、と思えることがうれしかった。

2月から彼女は入院して治療を受けることになった。
その記事を読み終わったあと、焦燥感に似た感情に包まれた。
絶対に無事に戻ってきてほしかった。
それを、どうしても伝えたかった。
祈り。
初めてコメントを送った。



健康なはずの私のほうが彼女からたくさんの勇気をいただいていたような気がする。
一度だけでもエールを送ることができてよかった。
一ファンの祈りは彼女の目にとまっただろうか。
3月の暖かい日差しのなか、彼女はふわりと春風になった。

知人には退院の予定を伝えていたとのこと。
突然訪れた最後の時まで彼女らしく生き抜いたことがコメントから伝わってきた。
彼女がたくさんの人に愛されていたことも。



今は痛みも苦しみもない、春の空を笑いながら浮かんでいるでしょう。
長い間お疲れ様でした。
どんな時も自分らしさを忘れないこと、その強さと優しさを教えていただきました。
どんな時も希望も持ち楽しさを忘れず生きること・・・

ご冥福をお祈り申し上げます。

なおなお様へ
[PR]
by bingolgo | 2009-03-20 02:04

このタイミング?!

ピロチ先生に歯の治療をしてもらっている。
今日は2回目の受診で、左奥上下の親知らずを抜くことになっていた。

上下、一気に抜いて大丈夫なのだろうか?
若干不安だったが、問診票の項目「極端に怖がりである」に丸をつけた私への配慮で、一度に済ませるつもりだったのだろう。

歯の周りに麻酔を打ち始めた。

イテテ・・・イテテ・・・・・・だんだん目の前がクラクラしてきた。
手を挙げてタイムを取る。
よくある副作用らしいが、しばらくしたら回復するという。
サウナで気分が悪くなったときのことを思い出し不安が大きくなる。
歯科助手さんが順番に「大丈夫ですか?」と心配そうに聞いてくれる。

"大丈夫ですよ"と答えるものの、内心は「カウント9でぎりぎり立ち上がったボクサー並みの大丈夫さ」だった。
結局30分程、虫歯の検査とかで時間をつぶし治療を再開した。
麻酔を追加したが、今度は体が慣れたのか大丈夫であった。

奥歯を抜くときは頭がい骨の存在を強烈に意識するものだと知る。
歯ってやっぱり骨ですね。
上の歯を抜くのにも苦戦し、診察台に座ってすでに1時間以上が経過していた。
少し仕事のことが心配になる私。
その時、携帯電話がぶるぶると震えた。

治療の合間に確認すると、私の担当先でもっとも気を遣う相手からの電話だった。

ピロチ先生 「はいっ、もう一度挑戦するよ」

早く抜いてくれ・・・頼む。
頭がい骨を真っ二つにされるんじゃないか、との思いの中、歯が抜けたとしても、まともにしゃべるのは無理であることに気づいた。麻酔が効いているのである。

このタイミングで大事な電話がかかってきたら、人はどう対応するのだろうか。
ゴリゴリされながら考えるが答えは出ない。

ブルブルブル・・・しばらくするとまた電話が震えるのであった。
[PR]
by bingolgo | 2009-03-12 22:38

努力あっての成功

離れて住んでいると機会あるごとに必ず会っていたのに、同じ街に住むようになってからは年に一度会うか会わないかになってしまった友達がいる。
近況が気になっていたので先日、電話した。
お互いの声を聞くと一瞬で空白の時間は消え去るのだが、たまには会って話そう、となり、そのまま待ち合わせをしてお茶をした。

彼は仮称でピロチと呼ぶことにする。

ピロチはこの街で開業して歯科医をしている。
もうすぐ二年を迎えるが、順調に患者さんが増えており、彼の人柄と技術が評価されていることを確認し安心した。

若い頃はわがまま気味で、言いたいことを言いブチ切れてどこかに行ってしまう性格から「打ちっぱなし」と呼ばれていた。そんなピロチもいつのまにか仏のような温和な物腰になっている。私も営業だが、多種多様な人を相手にする仕事では彼のほうが大変だろうと思う。
開業してからは患者さんもそうだが、スタッフに気を遣うと言う。
お茶しながらお互いの仕事や近況について語りあった。

ピロチは昔はかなり倹約家だったのだが、稼ぐようになると変わるもんだなぁと感じることが前回あった。
去年の春の話だが、ピロチとガウチと三人でお茶をしているときに彼がうどんを食べに行くだけに高速道路を利用しているというのだ。しかもそれほど遠い場所ではない。
私とガウチの庶民はには信じられないことだった。 「自慢ですかー?」とからかったものだが、今回も聞いてみた。
「相変わらずうどんのために高速使ってるの?」と。
苦笑いしながらまだ使ってるという彼。
「これから成金と呼ぶからな」と笑いあったが、その後に彼が笑いながら言った一言が本心だろう。

「頑張れば稼げるかもしれないけど早死にするよ」

それはそうだ。開業時に億に近い融資を受けて、患者がこなければ食べていけないプレッシャーや悪い評判がたたぬよう外にも中にも目を配り、新しい技術を取得するためには休診して研修に行くこともある。

彼はいつも不安でいっぱいだという。他人を頼ることができないプレッシャーもあるだろう。
高速道路を使うのも時間を無駄に出来ないかららしい。

どの道に進んでも将来安泰ということはない。
頑張れば報われる環境に身を置けることは幸運なことではあるが、果たして自分だったら妥協せずに彼ほど頑張れるだろうか?と胸に問い掛けた。

今自分が置かれている環境でベストを尽くしているか?
会社から給料をもらうことを当たり前のごとく考えていないか?

ピロチのまっすぐな目を見て、茶化してる場合じゃないなと思った。

目指せプロフェッショナル。
気分はシャチョウサンだ。
[PR]
by bingolgo | 2009-03-06 17:53
line

Welcome to my life!


by bingolgo
line
クリエイティビティを刺激するポータル homepage.excite