30代後半男の惑い

bingolgo.exblog.jp ブログトップ

おくりびと

週末の仕事の代休だったので、映画を観にいきました。
ちょうど今日、第81回アカデミー賞外国語映画賞を受賞した「おくりびと」です。

話題の最中にあるためか、ウイークディの朝なのに、結構お客さんがいました。
それもいつになくお年を召した方も多かったです。

近年の日本映画の傑作であることは確かです。まだご覧になっていない方はぜひ足を運んでほしいと思います。
心が浄化されるような涙が自然に溢れる素晴らしい映画でした。

納棺師という職業があることを初めて知りましたが、私たちも映画を通じて人の死を見届けます。
死をテーマにした映画は、ついその状況を自分の環境に置き換えて観てしまい、ストーリーの細部に目が行かずに短絡的に感情移入してしまいます。
上映中の1/3位は涙が出そうになるのを堪えながら観るはめになりました。

エンディングロールをぼんやりと眺める頃になりようやくこの映画のメッセージが改めて胸の奥からじわじわと伝わってきます。

亡くなった人と向き合い、冥途への旅支度をしてあげる主人公。
敬意が伝わる真摯な仕事と温かい目に“いのち”に関わる仕事をしている誇りを感じました。
しかし、幼い頃、母と自分を捨てていなくなり憎んでいた父に遺体で30年ぶりに目にしたときに、一人の人間として思わず言葉がでます。

「70数年生きてきて、残すものがダンボールひとつという人生って何なんだろうね」


ところが、地元の葬儀業者が父の遺体をぞんざいに扱う姿を見て、彼は憤りを感じます。
業者を制し、納棺師として、子供として、父と向き合う。


私は思う。生きている間は何をしてきたかは大切で、それがその人の価値を決めることではあるけれど、亡くなった時、それとは別に、今まで生きて来たこと自体に畏敬の念を持つべきなのだと。
人に何も与えずに生きていくことは不可能であるし、苦労なく命を終える人などいないのだから。

今の世の中、目に見えるもので価値が計られ、無形のものは軽視されるようになってきている気がする。
思いやりとか感謝とか人間らしさとかこころとか、こういう抽象的な言葉が淡々とした流れのなかに溢れている映画でした。

アカデミー賞の受賞を嬉しく思います。観てよかった。

*興味持たれた方はこちらもご覧ください。
映画紹介と素晴らしいレビューがたくさん載ってます。
映画生活 おくりびと
[PR]
by bingolgo | 2009-02-23 22:55